文学とは、言語によって表現された芸術である。すなわち、人間は如何に生き、如何に外界を認識し、交わり、死んでいくのかといったテーマに、言葉のみを用いて応える芸術である。そして、文学研究とは人間を研究する学問である。文学研究の方法には、作家・作品論、テクスト論があり、精神医学分野には、作家の精神疾患と作品との関係を考究する病跡学の知見が存在する。
本授業では、主として詩歌、物語、紀行、小説など、日本文学の諸作品、特に、いわゆる社会的弱者の描写を題材として取り上げ、どのような研究がなされているかを紹介する。そして、文学に関わる人間、すなわち作者、登場人物、読者の視点から多面的に捉える視座を得ること、一つの文学作品に対する自らの読解や理解が、数ある中の一つである認識を持ち、文学を通して人間の多様性を理解することを目標としている。授業は、講義、ディスカッション、ゲストスピーチなどで構成する。また、他授業科目の関連を意識し、教養の有用性について伝える。